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さまざまな子どもの居場所づくりから広がる未来

2017.03.21

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子どもたちが日々の生活のなかで抱える困難や悩みごとは、時代に応じて複雑に変化しています。

そうしたなかで子どもが自分自身を見つめ、社会で居場所を感じることは、成長していく過程において大切な要素です。そこで、「こどもの居場所づくり」が重要ととらえ、長野県でそれらの活動に注力されている団体の皆様に現場の「いまの声」をお聞きしました。

貧困や虐待、いじめ、不登校など、子どもを取り巻く環境は年々変化し、悩みごとは深刻化、複雑化しています。
例えば「平成27年版子ども・若者白書」によると、2012年の子どもの貧困率は16.3%と過去最悪の水準に。
特に子どもの貧困率は加速しており、なかでもひとり親世帯の相対的貧困率が54.6%と高水準になっています。
その背景のひとつが、ひとり親世帯(母子世帯)の増加です。
厚生労働省の「平成23年度全国母子世帯等調査」によると、母子家庭を中心に生活が苦しいとする世帯は66.4%。
その結果、忙しく働く親と話す機会が得られない子どもたちが増加しています。さらに近年はインターネットやスマートフォンの急速な普及により、親子のみならず友人とも直接話す機会が減りました。
ネットいじめなどのトラブルも増え、人間関係も複雑化し、多方面からの子ども支援が急務となっています。

顔が見えない安心感による子どものひとつの居場所

そうしたなかで立ち上がった活動のひとつが、いまや全国41都道府県72カ所で実施されている「チャイルドライン」です。
これは18歳以下なら誰でもかけられる子ども専用の無料電話で、専門の研修を受けたボランティアが話を聴き、気持ちを受けとめます。
子どもは名前を言う必要はなく、秘密は厳守され、説教や意見を押し付けられることもありません。
子どもたちの主体性を大切に、自らの意思で一歩を踏み出すきっかけをつくるよう努めています。
こうした日本のチャイルドラインが立ち上がったのは、1998年。
いじめが社会問題化するなかで世田谷区の市民がイギリスで行われいるチャイルドラインを期間限定で始め、翌年には「チャイルドライン支援センター」が設立されました。
長野県では当時の田中康夫知事の後押しにより2004年に誕生。
そのため、全国で唯一、行政が支援するチャイルドラインであり、長野県教育委員会を通じ県内すべての小中高校に電話番号を知らせるカードが配布されています。
結果、長野県における子どものチャイルドラインの認知率は72.5%と全国1位。
顔が見えない安心感による子どものひとつの居場所になっています。また、集まった子どもたちのリアルな声は記者会見や冊子等を通じ、社会に反映されています。

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世代を超えての調理や遊びなどから地域のつながりを生み出す

同じように電話相談を目的として2012年に立ち上がった団体が、NPOホットライン信州です。
こちらは年齢を問わず対応しているもので、特に40歳代を中心とした働き盛りの世代から多く相談が寄せられています。
そのうちの9割はうつ病をはじめ精神疾患を患っていることから、代表の青木正照さんは幼少期の家庭環境にひとつの原因があると感じました。
そして、子どもの問題点を解消しなければ社会の根本的な解決にはならないと感じ、特に子どもの成長にとって大切な家族の食事時間がもてないと子どもたちは家庭で居場所を感じられず自己肯定感を喪失すると考え、2016年1月に県内で初めて「信州こども食堂」を開始しました。
これは、地域の子どもと老若男女が参加し、ともに調理や食事、学習支援や遊びなどをすることで世代を超えたつながりを生み出す活動です。参加費は無料~300円程度。いまでは県内各地に活動が広がり、12月25日時点で延115回が開催され、合計4842名が参加しました。
さらに、県内では同NPO以外にも独自のこども食堂を実施している団体があるほか、長野県庁でも家族と一緒に食事をする機会が少ない子どもに対し、学習支援や食事提供、悩み相談等の複数の機能・役割をもつ「信州こどもカフェ」が立ち上がっています。
これにより子どもたちは地域のなかに居場所を感じ、親同士の交流も生まれ、高齢者は生き甲斐を見出しています。また、経済的に苦しいひとり親もボランティアとして参加することで、食材の支援を受けています。

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なお、NPOホットライン信州の場合、使用する食材は、農産物などを提供してもらう「フードバンク活動」と、行政や企業からの寄付が中心。
さらには子ども服や鉛筆、ランドセルなど使わなくなったものも提供を受けることで、心のふれあいも生まれています。

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これらの居場所からは、相談者や参加者から前向きな反応が届いています。
こうしたさまざまなケースに応じた子どもの居場所づくりにより、多様な個性を受け入れる社会もまた形成されています。

<取材協力団体>

  • 長野県チャイルドライン推進協議会

    長野県チャイルドライン推進協議会事務局(チャイルドラインすわ内)
    TEL.0266-58-3494
    チャイルドラインながの 携帯 090-9667-0874
    チャイルドラインすわ TEL. 0266-58-3494
    チャイルドラインうえだ 携帯 090-3565-7086
    チャイルドライン佐久 携帯 090-3043-9524

    県チャイルドライン推進協議会を設立し、現在「ながの」「すわ」「うえだ」「佐久」の4団体で協力・連携しながら活動しています。

  • NPOホットライン信州

    〒399-0011 長野県松本市寿北5-4-28-1
    ●土・日フリーダイヤル(10:00~22:00)0120-914-994
    ●平日(10:00~22:00)TEL.0263-75-8368

    信州こども食堂ネットワーク事務局のほか、くらしなんでも相談事業やフードバンク事業(生活必需品の提供)などを行っています。

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