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子ども支援の「いま」と「これから」vol.3

2016.12.14

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長野県みらい基金を設立して4年がたちますが、現在は登録160団体のうち57団体が子ども支援をしている団体です。今年9月で、県民から計1200万円が子ども支援の団体に寄付されていますが、もっと子ども支援に力を入れようと、こうして今日皆さんにお集まりいただきました。さまざまな分野の方々の考えや思いをお話しいただき、県民にも関心を持って自分の立場で子ども支援ができるようになってもらえたらいいと考えています。

思いを実現するチカラ

- たぶん、そのような思いを実現する力が必要なんだと思います。ずっと県が支援をしてくれるわけではないので。それって具体的に何なのでしょうか。

戸田さん

知る・気付くというのがまず始まりで、段階的に気付いてもらう場が必要だと思っています。そのうえで皆さんが仲良くなって何かできると思った時に、一人で形にしていくのは難しい。同じような仲間が集まってもリーダーシップにあふれる方がいない場合は、やはり難しいと思います。そこで相談に乗ってくれる場所が明確でコーディネーターが立ち上げのノウハウを教えてくれるというようなことが必要なのでしょうね。まずはできることを、さらに企業のネットワークが必要になりますので、多様なジャンルの企業の方々が集まる会をみらい基金さんに開いていただく可能性も考えられます。

戸枝さん

何か県でできる行政的支援の形ということで、私が提案したいのは、カナダ生まれの親教育支援プログラム「完璧な親なんていない」というプログラム(NP)と親子の絆づくりプログラム「赤ちゃんがきた」(BP)の実施を希望します。子どもが生まれて初めて親になるわけですが、親になるための学びのと仲間と出会う場が必要不可欠です。終了後は、仲間同士の強い連帯感が生まれるプログラムです。

中島さん

ある意味、お母さんが団結してやっていくための場をつくるわけですよね。

戸枝さん

常に親たちが支え合いながら、自分たちの使命にも目覚めるような活動の場があったらいいと思っています。

中島さん

そういうところにシニアなども行ってもいいのかしら。

- そういうプログラムを応援する地元企業があってもいいと思います。お母さんの子育てが終わるとその場がなくなってしまうのは、地域に根差していないから。地域全体でその場を認知している状況になればいいのではないでしょうか。

中島さん

子育てが終わったお母さんも、今度は支援する側になって自分の居場所をつくっていくとか、ですね。

- 私は今、子どもの貧困を勉強していますが、役所の窓口に相談にすら来られない人たちに対してどうアプローチしていったらよいのでしょう。

戸田さん

そういう方は相談窓口にはなかなか来ないので、一般の方たちが気にかけていくということが大切だと思います。「まちの縁側」はただ「居場所をつくる」のではなく、「排除しない」という根底の考えを多くの人たちに持ってもらうことなんです。

ちょっとした会話の中で発見する人を増やしていく。本当に困った方ほど相談に来ないのではないでしょうか。何か見えるものをつくっていくのではなく、意識を変えていったり意識を持ってもらうような講座を開催していくことも一つの方法ではないでしょうか。気付いた人間がウエーブを起こして旗を振ってもらえるのでやりやすくなります。

戸枝さん

不登校や引きこもりの問題で、不登校や引きこもりの子どもたちの立ち上がりを伴走者として支援するのには、10年近くかかる場合もあります。事業によっては、どこからも資金が生まれてこない部分もあるので、単年度の助成ではなく期間を長く助成してもらうと活動の見通しがたちます。

「子どもの視点」でつなげる

- 今、僕らNPOがやらなければいけないことは、その活動がどれだけ地域によい効果を与えているかということをもっとたくさんの人に知ってもらうことだと思っています。一生懸命応援するという中間支援の力をもっと持たないといけないと思いました。その中には、いろいろな支援があっていいんです。そういう意味では、県も企業も資金以外の支援もあるかもしれません。僕としては今日の話で希望を持てました。最後に感想を一言ずつお願いします。

中島さん

県では地域レベルで関係者が出会うことのできる子育て支援のプラットフォームを作る予定ですが、子どもの居場所作りを通じて地域にある課題解決のために実際に協働してお互いの意義を高めていくような視点が重要だと思いました。行政は地域の社会課題解決のために、さまざまな関係者と協働をすることで、子育て支援も地域の課題も解決し、企業も高齢者も元気になるような支援をすることが本当に必要だと思いました。この座談会を契機に、皆さまと一緒になって取り組みを考えていけるといいなと思っています。

山浦さん

女性もシニアもみんなで一緒に活動すれば、この地域をもっと活性化できるのではないかと思います。私もやってみたいことがあるので、そうした窓口を知ることで、こういう時はどうするのかと本当にいい勉強させていただきました。会社に帰ったら早速子育てをしているお母さんたちに話してみたいと思っています。

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戸枝さん

子どもがどうありたいかは子ども自身がちゃんと言えるから、その声に耳を傾けることが大切だと思います。まずは、子どもの本当のつらさや願いを聴き、子どもから学んだことをみんなで共有し合えばいいと思います。

戸田さん

子どもの視点でまちづくりを考えていけば、非常に優しいまちになっていくなと考えました。シニアが子どもの視点でどう見るかというプログラムを早速開発したいと思います。

- もっと伝える、もっとつながっていくことが大事なのですね。輝く信州の女性たちにしっかり助けてもらわないといけないと思いましたので、今後ともよろしくお願いします。

<参加者>

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    長野県副知事
    中島 恵理さん

    副知事の中島です。担当業務の一つが子ども支援です。自分自身も子育て世代である経験も踏まえながら、子ども支援に関係する部署間の連携を図りながらよりよい施策作りに取り組み、今年は子どもの貧困対策の計画をつくりました。さらに子ども支援の強化に取り組んでいきたいと思っています。

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    ハイブリッド・ジャパン株式会社代表取締役/ライオンズクラブ334-E地区 地区FWTコーディネーター
    山浦 悦子さん

    私はライオンズクラブに入会して20数年になります。クラブでは子どもたちの支援事業に力を入れていて、これから子どもたちの居場所づくりを企業と一緒に計画するところです。今日は皆さんのお知恵をお借りしたいと思っています。

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    NPO法人 子ども・若者サポートはみんぐ 事務局長
    戸枝 智子さん

    伊那市の「NPO法人子ども・若者 サポートはみんぐ」事務局長と、「ながの不登校を考える県民の会」の事務局をしています。私自身、長男が4歳の時に保育園に行けなくなり、母親たちが自主運営する松本市の子育てサークルに入会し、3年間活動したことが現在の活動につながっています。
    官民協働事業「上伊那子どもサポートセンター」ができ、当事者や不登校に苦しむ子どもたちの声を行政に届ける手段が生まれると思いました。わが子の不登校体験やさまざまな支援活動から学んだことを社会に還元したいと思っています。今回の座談会はよい機会をいただいたと思っています。

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    公益財団法人 長野県長寿社会開発センター 主任シニア活動推進コーディネーター
    戸田 千登美さん

    私は3年前から「長野県長寿社会開発センター」でシニア活動推進コーディネーターとして、シニアの社会参加(人生二毛作)の推進をしています。
    その一つのシニア大学事業は、今は2400~2500人で60~92歳のシニアの学生が学んでいます。学生たちは皆、その知識を社会に生かそうとしています。また、シニアを求める側と何かをしたいシニアが出会い、意識啓発をするような場づくりを3年前から始めています。戸枝さんのような現場の状況や思いを話してくれる人とシニア層が直接出会う場をつくり、現場を見せていくことで児童虐待や不登校について知っていただくよう心掛けています。

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    認定NPO法人 長野県みらい基金 理事長
    髙橋 潤

    コーディネート・ 司会進行

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